「豊島事件から地方議会へ この国の姿が見えてきた」
生活や行政のまわりでいったい何が起きているのか。
石井とおるの体験をとおして、その中身をひもといて伝えたいことを記しました。
B6版220ページ。
発行:農事組合法人てしまむら
著者:石井とおる
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【本および著者の紹介】
『未来の森』は、著者が経験した、故郷の産業廃棄物不法投棄事件とその事件をきっかけに地方議員となってから今日まで、つぶさに見つめてきた県行政の姿を描いたものである。
著者の石井とおるは瀬戸内海に浮かぶ小さな島、小豆島の西隣の「豊島-てしま-」で1960年に生を受ける。21歳の時、アメリカに渡って農業を学び、2年後、帰郷した。
故郷に帰ったのには理由があった。「過疎化や高齢化が進んでいて、日本が壊れていく前兆が典型的な過疎地に起きる」と考えたからだ。また、「もし『怪しい国』日本が変わる日が来るとしたら、そうした過疎地から始まるのではないか」と期待したからだという。そして「日本が壊れていく前兆」は、不幸にも、産業廃棄物不法投棄事件となって、故郷に起きた。
著者は、産廃撤去運動の中心メンバーの一人として調停や準備作業に忙殺される日々の中で、農業を廃業し、職を転々と変えながら生計を立てる。
その運動の流れの中で香川県議会議員選挙に担ぎ出され、当選を果たし、政治の世界に飛び込むこととなる。
『第1部 お天道様は見てまっせ(豊島事件から)』は、豊島産業廃棄物不法投棄事件を中心に著者が事件をきっかけに議員となって活動するまでを描いている。
議会や政治と無縁だった著者は、当選直後、頭の中が真っ白になったという。何もわからないし、知らなかったからだ。
しかし、著者は、故郷の産廃不法投棄事件の当事者として運動していく中で、現場を歩き、人と出会い、議論をし、事実を調べ、課題を探り、解決の方法を見つけ出そうという姿勢を身につけていた。地方議員となってもその姿勢は貫かれたのである。
『第2部 学ばない仕組み(失われた自治)』では、その姿勢の下で県政を直接監視できる地方議員の立場から、県財政の破綻した原因や住民の目に「県行政が住民の言うことを聞いてくれない」と映るわけ、県に関係する事件、障害や介護、生活保護などの個別ケースに現場で立ち会い、県職員や行政機関の実態と課題、地方自治体の混乱した様子を明かしている。
著者は最後に、「失われた自治」を取り戻す小さな挑戦の事例を描いて著書の終わりとしている。
それは、決して問題をたちまち解決させる処方箋や魔法の杖ではないが、その気づきのヒントであり、未来への挑戦を我々に投げかけているのである。
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